石油の豊富な国、ベネズエラはかってロックフェラー家のパラダイスとよばれたものであり、ヤンキーたちはそこでコカ·コーラよりも安い値段で石油を買いとっていたが、いまのところ、これら吸血鬼たちはゆううつな日々を送っている。民族解放軍という名で知られているゲリラ軍は、アメリカとベタンコオルト政府の気狂いじみた武力弾圧にもかかわらず、その武装力は日一日と大きく生長している。
この事実を物語る最近の一例としてファルコ州戦役での政府軍の失敗を挙げることができる。数個月の準備のあと約八○○○名の反動軍と軍事顧問のアメリカ人将校はコロ山にあるゲリラ軍の基地に鉗子戦術の攻撃を加えた。かれらは愛国者たちにたいする大衆の支持と補給をたちきるため、農民たちにたいして無差別爆撃と白色テロをおこなった。だが、攻撃はやはり失敗に帰した。
この間にゲリラ軍は敵に反撃を加えた。四月七日、クリール石油会社(US·スタンダード石油会社の子会社)の送油管は爆弾で爆破されたが、これは一カ月にも足らない間の第三回のできごとであった。民族解放軍は首都で政府軍にたいし一連の攻撃をくわえた。アメリカ大使館付陸軍武官の家も一回襲撃され、アメリカ大使スチュアートは「もしアメリカがひきつづきベネズエラの内政に干渉するならば、解放軍はかならず報復するであろう」との警告をうけた。
ゲリラの活動についてブラジルの「リガ」誌はつぎのようにのべている。「ベタンコート政府はこわれ易い軍事機械にたよっているにすぎず、全く人民から遊離している。武装闘争はベネズエラ人民のゆくべき道であり、かれらのとらなければならない唯一の道でもある」と。ベネズエラ人民はすでに第二回ハバナ宣言のつぎの言葉が真理であることを証明した。「人民の行くべき道の閉ざされているところ、労働者と農民にたいして鎮圧のはげしいところ、ヤンキーの独占支配の強いところで人々が知るべき最も重要な第一課は、存在もしていないし、また存在もしえない合法的な手段で支配階級を一掃させることができるということは徒労であり、空想的でもあり、妄想でもある。人民を騙すことは正義でもないし、正しくもない、ということである。」