腕時計にまつわるエピソード

中国の外洋貨物船「海豊」号が一九七一年四月、スウェーデンのエーテボリのマイナベ港に停泊して積込み作業をおこなっていた。そのとき、年輩の港湾労働者ストン·リンドロトさんが仕事中にちょっとした不注意から腕時計（この時計はリンドロトさんが五十歳の誕生日に、人から贈られたもの）を紛失した。どこをさがしたらよいのか。船腹は貨物でいっぱいだ。気にいった腕時計ももう見つかるまい、かれは半ばあきらめていた。ところ...