「世界の屋根の屋根」アリ

チベット（西蔵）西部のアリ地区は、平均海抜四五〇〇メートル以上で、青蔵高原の他のどの地区よりも高いため、「世界の屋根の屋根」と呼ばれている。アリ地区の面積は三五万平方キロメートルで、チベット自治区の総面積の四分の一強を占めている。かつてここは不毛の地といわれていたが、実際は、広々とした草原と数多くの湖沼を擁する天然の牧場である。ヤルツアンポ（雅魯蔵布）江の源や獅泉河流域の谷間では、はだか麦、あぶら...