有名な中国の汴繍は河南省開封市で生産される。開封はむかし汴と呼ばれ、かつて宋代(九六〇~一一一二七)の国都でもあったことから、汴繍は「宋繍」とも呼ばれる。当時、開封は中国の政治、経済、文化の中心であり、人口は百余万を擁し、きわめて繁華であった。市内には刺繍専門の市場があり、また「繍巷」という名の通りがあった。刺繍は宮廷内の欠かせない装飾品であり、民間でも極めて盛んに用いられていた。その後、国都が南...
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有名な中国の汴繍は河南省開封市で生産される。開封はむかし汴と呼ばれ、かつて宋代(九六〇~一一一二七)の国都でもあったことから、汴繍は「宋繍」とも呼ばれる。当時、開封は中国の政治、経済、文化の中心であり、人口は百余万を擁し、きわめて繁華であった。市内には刺繍専門の市場があり、また「繍巷」という名の通りがあった。刺繍は宮廷内の欠かせない装飾品であり、民間でも極めて盛んに用いられていた。その後、国都が南...