わたしの友人坂本敬四郎さんのお宅にお邪魔にあがったとき、驚いたことがある。中国でならそれほど珍しくはないのだが、日本人の家だからびっくりしたのである。坂本さんの家の二階の壁際の屏風に、往時の井岡山革命根拠地で毛沢東と朱徳が合流した際のさっそうたる雄姿、中国の著名な書家費新我の書―毛沢東詩詞『西江月·井岡山』のさわやかで、力のみなぎった字。寝室の窓際には、坐して沉思默想する毛沢東の石膏像。これは六〇...
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わたしの友人坂本敬四郎さんのお宅にお邪魔にあがったとき、驚いたことがある。中国でならそれほど珍しくはないのだが、日本人の家だからびっくりしたのである。坂本さんの家の二階の壁際の屏風に、往時の井岡山革命根拠地で毛沢東と朱徳が合流した際のさっそうたる雄姿、中国の著名な書家費新我の書―毛沢東詩詞『西江月·井岡山』のさわやかで、力のみなぎった字。寝室の窓際には、坐して沉思默想する毛沢東の石膏像。これは六〇...