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さまざまな不安定要因はらむ二十二世紀の国際関係

Year:2000 Issue:52

Column: 文章

Author: 国際問題研究所所長 楊成緒

Release Date:2000-12-26

Page: 4-9

Full Text:  


楊成緒氏

楊成緒氏

二十世紀最後の年、二〇〇〇年の国際情勢の展開はおおむね、冷戦終結後の基本的な流れを維持するものであった。全般的には緊張緩和、局地的には流動的で、時には緊張激化、時には緊張緩和という情勢であった。地域紛争は衝突と沈静化が繰り返され、下火になるところがあれば別のところに火が点くといった情勢であった。世界の経済·貿易は強い勢いで発展し、世界全体の総生産と国際貿易の伸び率は二十世紀最後の十年における最高レベルに達した。国家間、とりわけ大国間ならびにアジア、欧州·北米間では、それぞれの利益が交錯する一方、相互関係は一定程度、改善、強化された。

経済貿易関係の相互発展により、国家間の関係がいっそう密接になる一方、各国の利益の相違および冷戦時代名残りの思惑が、時として国家関係の悪化をもたらし、国際情勢に影響を及ぼしている。

二〇〇〇年の特筆すべき国際情勢

一、良好な世界経済情勢

国際通貨基金(IMF)の予測によると、二〇〇〇年の世界全体のGDP成長率は、九〇年代で最高の四·一%(九七年)を上回る四·七%に達し、世界貿易の増加率は、九〇年代で最高の九·一%(九五年)を上回る一〇%に達した。世界銀行の予測もほぼ同じで、世界全体の成長率は四·一%、世界貿易の増加率は一二%としている。各国·地域の経済は、軒並み成長を加速させ、米国は約五%、ユーロ圏は三·五%、日本は一·四%の成長率を示し、いずれも一九九六年以来の高成長を記録した。発展途上国の成長率は五·六%で、そのうちアジア諸国は六·七%に達する見通しで、一九九七年の金融危機以前の成長速度を取り戻し、世界で成長速度の最も高い地区となった。体制を転換した国々の成長率は約五%となる予測で、そのうちロシアは七%に達する見通しで、いずれも冷戦終結後、最高の成長率である。

二〇〇〇年の世界経済の動向では、地球規模での株式市場の変動、ユーロの対ドルレートの下落、原油価格の高騰などに人々の関心が集まった。米国株式市場は、大幅下落の様相を呈し、中でもナスダック指数は約四〇%の下げ幅となり、アジアとヨーロッパの株式市場もそれぞれ下落傾向を呈した。国際市場での原油価格は大幅に高騰し、一九九九年三月には一バレル十ドル足らずだったものが、今では三十ドル以上になった。原油価格の高騰は、すでに多くの方面で世界経済に影響を及ぼしており、今後の世界経済にも影響することになろう。予測では、二〇〇一年に米国はGDPの〇·六%、ユーロ圏は〇·八%、日本は一%に相当する収入の損失がある見通しで、新興市場諸国の蒙る損失はさらに大きくなり、タイ、フィリピンなどではGDPの二ないし三%を占めることになる可能性もある。それは先進国のインフレ率の上昇を招き、原油を輸入している発展途上国の経常項目の入超が拡大し、債務問題がいっそう悪化することになるだろう。

二、冷戦終結後十年を経て始まった南北朝鮮の雪解け

二〇〇〇年は、朝鮮半島情勢が流動的局面から安定的局面へと変化する重要な意義を持つ年であった。六月中旬、金大中大統領が平壌を訪問し、金正日国防委員長と初首脳会談を行い、南北関係と国の統一について重要な共通認識に達した。これは、両国関係が敵対から和解へと向かうことを示しており、大きな歴史的意義を持つ。これと前後して行われた、金正日朝鮮労働党総書記の中国訪問、ロシアのプーチン大統領の朝鮮訪問、さらに続く朝米のハイレベル相互訪問は、いずれも朝鮮半島の緩和に重要な意義を持つものである。朝米関係正常化の歩みが加速し、朝日国交正常化交渉が再開され、独·英など西欧諸国もイタリアに続き、朝鮮との国交樹立の意向を表明した。これは北東アジア、ひいては世界の平和と安定にとって間違いなく有益なことである。


九月末、パレスチナとイスラエルの間で大規模な流血事件が発生した。写真は、イスラエル軍が放った催涙弾を投げ返して抵抗するパレスチナ人
カメラ·新華、AP通信

九月末、パレスチナとイスラエルの間で大規模な流血事件が発生した。写真は、イスラエル軍が放った催涙弾を投げ返して抵抗するパレスチナ人 カメラ·新華、AP通信

三、中東和平プロセスが挫折し、アラブ諸国·イスラエル間に再び緊張が

米国主導の中東和平プロセスが暗礁に乗り上げ、この地区に対する諸大国の介入が強められた。二〇〇〇年初頭、中東和平会談は積極的な進展を見せ、イスラエルはシリアとの話し合いを始めるとともに、レバノンから軍隊を撤退させたが、パレスチナとの和平会談は失敗に帰した。パレスチナ·イスラエルの和平会談は、九月末に大規模な衝突による流血事件が発生したため決裂した。九月二十八日、パレスチナ·イスラエル間で火を噴いた大がかりな衝突は、二カ月以上過ぎた今もなお続き、これまでにない規模で多数の死傷者を出すことになった。パレスチナ·イスラエルの衝突以来、アラブ諸国とイスラエルの関係は再び緊張し、アラブ諸国では反イスラエルの風潮が起こり、一部のアラブ国家はイスラエルとの下級レベルでの外交関係を断絶し、さらにリビアとイラクはイスラエルに対する聖戦を公言するまでに至り、中東情勢全体が緊張と激動のただ中にある。

四、総体的に安定、局地的に不安定なアフリカ情勢

二〇〇〇年のアフリカ情勢は総体的には安定を保っているが、局部地区、主に中部の大湖地域では依然として不安定な流動的情勢にある。アフリカでは絶えず突発的な事件が続いているものの、比較的小規模で、大きな影響はない。五月以来、エチオピア·エリトリア国境での衝突が再燃し、アフリカ大陸で最も熾烈な戦争が展開された。アフリカ大陸の五十三力国のうち、十二カ国が戦争の泥沼の中にある。アフリカ諸国は、内紛をなくし、アフリカ大陸の平和を維持するためにさまざまな努力をしており、ソマリア、ブルンジの内戦はしだいに沈静化し、コンゴ民主共和国やシエラレオネの紛争の拡大は食い止められた。注目されるのは、アフリカの政治的連帯の力が強まり、アフリカ統一機構(OAU)の自己努力によるアフリカ諸国の紛争解決に初めて成果が見られたことである。

アフリカは安定に向かっている。石油業は迅速に発展し、収益が増しており、現われたばかりの情報産業の発展スピードは速まっている。地域経済統合プロセスは加速し、南部アフリカ開発共同体(SADEC)や東南部アフリカ市場共同体(COMESA)の自由貿易地域が始動し、西アフリカは通貨統合圏に向けてまい進している。しかし、一部地域では干ばつ、洪水とエイズによる被害が深刻で、経済発展が阻まれている。

国際社会のアフリカに対する関係は強化された。米国は国連安保理で「アフリカ月間」を開催、クリントン大統領がアフリカを再訪、英国はシエラレオネに出兵、カナダはアフリカに介入、EU·アフリカ首脳会議がカイロで開かれ、期間を二十年とした第五次ロメ協定(現コトヌー協定)が正式調印され、リビア、スーダンと西側との関係が改善された。江沢民主席が南アフリカを訪問、パートナーシップ宣言を発表し、中国アフリカ協力フォーラムが北京で開催され、中国とアフリカ諸国との関係のいっそうの発展が促された。

五、時に好転、時に悪化する大国間関係

一九九九年に比べ、二〇〇〇年の大国間関係はやや好転するとともに、ヨーロッパ·アメリカ·アジア三大陸の地域組織は、三つ巴(どもえ)という基本的態勢をしだいに際立たせつつ発展している。一九九九年に米国が駐ベオグラード中国大使館を爆撃したあと、中米関係が最悪の状態に陥って以来、二〇〇〇年は、中国への最恵国待遇(MFN)恒久化法案が米上下両院で可決され、中米関係は改善し、一年余り中断していた安全·軍縮に関する中米間対話が再開された。中国と日本は、ASEAN加盟十カ国と中日韓三力国という「10+3」の枠組みの上で共通認識に達し、相互理解をいっそう深め、相互関係は強化された。コソボ戦争終結後、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)との協議を再開し、ロシアとEUとの関係はかなり改善され、ロ米関係も回復、発展した。

経済のグローバル化に直面し、地域連合が活発に行われており、現在すでに大小とりまぜて百十の地域組織があるが、このうちの三分の一は一九九〇年以後に成立している。コソボ戦争後、EUは、欧州防衛の支柱の建設を強化し、米国の関与なしに欧州が軍事行動を取れる力をつけるべきであると認識するに到った。今年、EUはすでに緊急展開部隊の創設を決め、二〇〇三年までに六万人の兵力を投入する予定である。また同時に、十二月にEU首脳会議を開き、ポーランド、チェコ、ハンガリーなど中、東欧国家のEU加盟について決定を行う。東アジア経済は迅速に回復し、再び世界経済の中で成長率トップを行く地域となった。東南アジア諸国連合(ASEAN)と中日韓の第四回会議が十一月末にシンガポールで開かれ、「10+3」体制の強化について、全参加国の間で広い共通認識に達した。メコン川の開発、パン·アジア鉄道建設のASEANによる下準備はすでに目鼻がつき、「10+3」を枠組みとした東アジアの協力体制は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)と相互に促進、補完し合って、この地区の平和と発展を推し進めることになる。米国、カナダ、メキシコからなる北米自由貿易協定(NAFTA)は、二〇〇四年までに南北アメリカを包括したものに拡大され、八億人の人口を擁する自由貿易地域となることが決まった。二十一世紀を迎えるに当たって、ブラジルが提唱していた南米首脳会議が同国の首都ブラジリアで開かれ、南米諸国の結束力の強化、一体化の推進にとって重要な意義を持つ会議となった。大きな地域連合の中で最も発展が注目されたのは、アフリカ統一機構首脳会議がアフリカ連盟の創設を決定したことである。また各大陸間の相互関係はいっそう密接になり、EU·アジア首脳会談、EU·アフリカ首脳会談が開かれ、東アジアと中南米の協議体制が一歩を踏み出した。


毎年続く内戦はシエラレオネ国民に大きな被害をもたらし、数十万人の人々が故郷を捨てざるを得なかった。写真は、収容施設への登録の順番を待つ、戦闘地区から逃れてきた難民たち
カメラ·龔兵

毎年続く内戦はシエラレオネ国民に大きな被害をもたらし、数十万人の人々が故郷を捨てざるを得なかった。写真は、収容施設への登録の順番を待つ、戦闘地区から逃れてきた難民たち カメラ·龔兵

六、ミレニアムサミット開催

国連ミレニアムサミットが九月初めにニューヨーク本部で開かれ、百八十余力国の代表が参加し、百五十余名の国家元首、政府首脳がスピーチを行い、国連の地位と権威を守り、役割を強化するうえで共通認識に達した。閉幕時に発表された宣言は、「国連憲章」の主旨と原則は「永久に生きており普遍的に適用できる」と重ねて言明した。宣言はさらに、国の主権と平等の擁護、各国の領土保全と政治的独立の尊重、平和的手段による国際法に則った紛争解決、他国に対する内政不干渉などの原則的立場を強調した。ミレニアムサミット期間中に開かれた安保理常任理事国の五力国首脳会談は、国連創立以来の初の歴史的試みであった。会議は文書を発表し、国際社会の安定面における常任理事国五力国の中心的役割について、また世界平和と安全を擁護する面での国連の指導的役割の強化を約束したことを重ねて言明した。

七、米国の経済、政治

米国経済は強靭な成長の勢いを保ち、IT(情報技術)方面では他を遥かにしのぐ地位にあるが、米国の対外的行動はいたるところで牽制された。米国が何とか中東和平プロセスを推し進めようと主導してきた、エルサレム帰属問題に関するパレスチナ·イスラエル間の交渉は深刻な挫折に見舞われた。朝鮮半島における歴史的な首脳会談の実現、南北の和解という変化は、米国の事前の構想を超えたものであった。このあと、朝米間で行われたハイレベルの相互訪問は、米国の対朝鮮半島政策が後手に回っていることを映し出した。ロシア、中国および同盟国のドイツ、フランスによる米本土ミサイル防衛(NMD)計画への公然たる批判に直面し、クリントン大統領はNMD配備の延期を決定した。ベネズエラのチャベス大統領は、米国の強い反対を無視してイラクを訪問し、湾岸戦争後バグダッドを訪問する最初の外国国家元首となった。ロシア、フランスがバグダッドに向かう人道目的の航空便を率先して派遣し、続いてアラブ、アジア、アフリカなどの二十余カ国が次々と同様の行動をとり、イラクに対して実施されていた空輸禁止措置が破られた。またイラン·イラク戦争後、初めて、イラン外相が十月中旬にイラクを訪れ、両国が接近したことは、米国が進める二者抑制政策に対抗するものと見られる。

八、各国政界に変化

ロシアではプーチン氏が得票率五二%で当選を果たし、五月初め、ロシア大統領に就任した。同大統領は就任後、国内の政局を安定させ、現実的、実務的な対外政策を取り、中国、EU、米国、日本などとの大国間関係を強化し、独立共同体の一部の国と関係の密接化をはかった。ユーゴスラビアでは、野党党首コシュトニツァ氏が大統領選に勝利し、大統領に就任した。同大統領はロシアとの関係の密接化をはかり、西側諸国との関係を緩和、改善した。日本では、小渕前首相の急逝による森喜朗新首相の誕生後、トラブル続きで揉め事が絶えず、しばしば難局に直面した末に、かろうじて国会に提出された不信任案を退けた。メキシコでは、今年半ばの大統領選で、国民行動党(PAN)のフォックス候補が、七十年余り政権党の座にあった制度的革命党(PRI)の候補者を下し、相当な優勢のもとに勝利し、メキシコ大統領に就任した。この変化は中南米に大きな影響を与えた。ペルーではフジモリ大統領が、情報部門の側近による野党議員の買収疑惑のために非難され、海外訪問の途中に立ち寄った日本で自ら進んで辞任した。フィリピンでは、エストラダ大統領に収賄の嫌疑がかけられ、大統領罷免を要求する声が高まった。そして米大統領選では、ブッシュ氏とゴア氏の得票数が接近し、新たな大統領選びが遅々として進まず、第四十三代米大統領は裁判所の裁定により誕生することとなったが、共和党と民主党の上下両院の議席差は大幅に縮まり、伯仲した状況になった。


十一月二十一日、日本の衆議院本会議で森内閣の不信任案が否決されたあと、支持者に頭を下げて感謝する森喜朗首相、宮沢喜一蔵相、河野洋平外相(右から)
カメラ·陳建力

十一月二十一日、日本の衆議院本会議で森内閣の不信任案が否決されたあと、支持者に頭を下げて感謝する森喜朗首相、宮沢喜一蔵相、河野洋平外相(右から) カメラ·陳建力

世紀の変わり目にある二〇〇〇年の国際情勢の展開は、冷戦終結以降の大きな変化を本質的に映し出しており、二十一世紀初頭の国際情勢の基本的動向をはっきりと示している。世界経済は科学技術の発展と情報産業の勃興に促されて、強靭な成長の勢いを維持するであろう。世界の力関係は著しくバランスを失い、北強南弱の局面にあり、当分の間、この局面が変わることはむずかしい。二十一世紀に入り、国際情勢がどのように展開していくかは不透明である。

二十一世紀の国際関係における不安定要因

一、世界経済が抱える諸々の不安定要因

①米国経済の見通しが不透明である。②国際金融市場での投機的な動きが猛威をふるい、資本の移動が大きく加速され、コントロールしがたくなる。これには、すでに東南アジアの金融危機という先例がある。③原油価格が高騰し、今後の成り行きも予測が難しい。

二〇〇〇年の終わりにあたり、世界経済の成り行きはあまねく良好で、特に米国経済の見通しは明るいという見方が一般的である。一九九〇年に世界のGDPの二四%を占めていた米国経済の総生産は、二〇〇〇年には三〇%にまで伸びた。米国は、先進国の中で最も早く産業構造調整を進め、科学技術の投入を重視して、情報通信産業におけるトップの座を守り続けている。同国は今後二、三十年は引き続き、その優位を維持するだろう。しかし、米国経済の「見かけの強さ」は注目されているが、「中身のうすさ」は見落とされがちである。米国経済は決して見かけほど強くはないし、また、米国自身が考えているほど強くもない。米国経済には少なくとも以下の三つの弱点がある。①米国人の貯蓄率は非常に低く、ほとんどゼロに近いと言ってもいい程である。②米国経済は資本輸入に頼り、支えられていて、資本の純輸入額は年間四千億ドルに達する。③米国は自国が最も豊かな国だと奢っているが、二億六千万入のうち、三ないし四千万人は窮乏状態にあり、基本的生活も保障されない苦しい暮らしをしている。米国経済が衰退するような事態が起これば、世界経済の先行きは良好という予測も自ずと外れてしまい、しかも国際情勢に深刻な影響が生じるはずである。


十二月四日、選挙結果に対するゴア氏の異議申し立てが退けられた。写真は、舌戦を終え一段落がつき、握手するブッシュ陣営のバリー·リチャード弁護士(左)とゴア陣営のデービッド·ボイズ弁護士
カメラ·新華、AP通信

十二月四日、選挙結果に対するゴア氏の異議申し立てが退けられた。写真は、舌戦を終え一段落がつき、握手するブッシュ陣営のバリー·リチャード弁護士(左)とゴア陣営のデービッド·ボイズ弁護士 カメラ·新華、AP通信

二、潜在的な武力衝突の可能性

ヨーロッパのバルカン半島からトランスコーカサス、中東から中央アジア·アフリカ、南アジアから東南アジア·北東アジアという、このアーチ形地帯では、貧富の差の拡大、民族対立の激化、宗教分裂の深刻化、政治的発展のアンバランスといった問題に直面しており、時として、国家間の武力衝突や国内紛争などの局地的な戦争が勃発する可能性がある。また依然として覇権主義、強権政治が存在しており、大国による勢力圏の争奪合戦の激化は、これらの地域の情勢を悪化させ、戦争の火種となり得る。

三、大国間関係は時に好転、時に悪化

二十一世紀初め、世界は、十九世紀のヨーロッパのように各国のバランス·オブ·パワーが保たれた時代に戻ることはあり得ず、また、ただ一つの超大国が世界に覇を唱えるような局面になることもあり得ない。米国に挑戦状を突きつけるような国が現れることもなければ、米国に対抗しようとするような国も一国としてない。しかし、ロシアと中国を警戒するだけでなく、ヨーロッパ、日本をコントロールしようとする米国は、とうに破綻を来している。米国がおのれの足元の利益を守るために講じた経済制裁や軍事介入などの措置は、いっこうに大きな成果を得られず、今後ますます多くの国々の抵抗に遭うだろう。

米国など西側先進国は、引き続き政治的、経済的、軍事的に優位を維持しており、一九九九年のコソボ戦争の後、少しは反省してはいるものの、戦略的利益という考えから、西側の価値観を押し広めるために、なお時として「新介入主義」を推し進めようとするだろう。

米国·EU·日本の間は同盟関係で、共同の利益が存在しているが、米·EU、米日間には矛盾がない訳ではない。EUが独自の防衛体制を構築し、日本が普通の国になろうとすれば、米国との間に矛盾が生じないわけにはいかない。

大国間には、すでに相互に連係し合っている米欧ロ、中ロ米、中米日などの関係が築かれており、これは二十一世紀初頭も引き続き維持され、敵対関係にまで発展することもなければ、また完全に平等なパートナーの関係となることもないであろう。各大国は主に発展に力を入れ、総合国力を強化しており、軽々しく対立に向かうことはあり得ない。相互に利益をめぐる争いがあるために、相違点が激化するのは免れないが、一方では互いに共通の利益も存在しており、関係が悪化した場合も、行き過ぎるようなことはないだろう。大国間関係はなお絶えず起伏があって、時に好転、時に悪化という状況になるだろう。

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