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Directory Of Year 2000, Issue 52
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澳門で華南経済シンポジウム

Year:2000 Issue:52

Column: 文章

Author: 本誌記者 林国本

Release Date:2000-12-26

Page: 28-31

Full Text:  

総合開発研究院(中国深圳CDI)、台湾中華経済研究院、香港理工大学中国ビジネスセンター、日本総合開発研究開発機構(NIRA)共催、澳門(マカオ)経済学会協賛の「地域協力の理想的なあり方と東アジアにおける華南経済の役割」というテーマの中国、日本及び台湾、香港、澳門の「両岸四地」によるシンポジウムが十二月九日、十日、澳門のリッツ·ホテルで開催された。韓国対外経済政策研究院の代表もオブザーバーとして今回のシンポジウムに参加した。

開幕後の第一セッションの冒頭、塩谷隆英NIRA理事長が、第一回(深圳で開催)、第二回(香港で開催)、第三回(沖縄で開催)を振り返り、また、台湾での開催いろいろと努力してきたが、もろもろの事情により、急きょ澳門(マカオ)で開催することになった経緯について説明するとともに、関係者一同の努力によって、澳門での第四回シンポジウム開催にこぎつけたことを喜び、今回のシンポジウムの成功を祈る、という言葉でしめくくった。

そのあと、馬洪国務院発展研究センター名誉主任·総合開発研究院(中国深圳、CDI)理事長が要旨次のようなあいさつの言葉を述べた。

澳門の中国復帰、澳門特別行政区発足一周年を間近にしたこの時点に、澳門で「地域協力の理想的なあり方と東アジアにおける華南経済の役割」というテーマのシンポジウムが開催されることになり、大きな喜びを覚えるものである。

華南地区の経済の発展と日本、東アジアの経済についてのシンポジウムは一九九五年いらい、すでに深圳、香港、沖縄と三回開催されてきた。これは非常に有意義なシンポジウムで、ある期間をおいて、みんなが一堂に会してともに関心を持つ課題、とりわけ、その間における中国の香港に対する主権行使の回復、アジアにおける金融危機の発生などの歴史的な大きな出来事や、華南経済の発展に対する影響、日本、東アジアの経済関係に対する影響について、さまざまな角度から討論をくりひろげ、交流をおこなった。参会者のみなさんは、腹蔵なく発言し、共通点を求め、異なった見方は残しておく、というやり方で討論をくりひろげてきた。五年このかた、何回かの討論によって、参会者の視点、考え方をめぐってコミュニケーションを成り立たせ、参会諸機構間の交流と協力を強めることになったばかりか、われわれの間の友情を深めることにもなった。わたしはこの席を借り、CDIを代表して、このシンポジウムを企画·発起され、協力して下さっているNIRAに感謝の意を表わすとともに、NIRAの星野進保前理事長ならびに塩谷隆英現理事長に敬意を表わすものである。

あと二十数日で人類は二十一世紀に足を踏み入れることになるが、われわれは経済のグローバリゼーションが、インターネット·IT技術の急速な発展によって、さらに加速されること、アジア経済が徐々 に経済危機の暗い影から抜け出し、新たな発展段階に入ること、中国がWTO加盟により、対外開放の足取りが速くなるのを目にすることになろう。華南地区はかつてはアジアで経済の発展が非常に速かった地域の一つであったが、新たな情勢と背景のもとで、経済の高度成長の勢いを保ちつづけるためには、数々の新たな課題に直面することになろう。例えば、いかにして競争力をさらに高めるのか、持続可能な発展をなしとげることができるのか、地域間の経済協力を強化することができるのか、といったことは、われわれがさらに模索しなければならない課題である。そういうことで、わたしは、華南地区の経済の発展について話し合うシンポジウムをこれからも続けていくことを願っている。

今回のシンポジウムには、澳門経済学会、韓国対外経済政策研究院(KIEP)の学者、代表の方々も参加している。討論がさらに深まり、参加する学者の数がさらに増えることになり、このイベントがますますすばらしいものになるものと信じている。

つづいて、巫和懋台湾中華経済研究院副院長、陳文鴻香港理工大学中国ビジネスセンター主任、崔世昌澳門経済学会会長、全戴旭KIEP研究員、大沢勉日本国駐香港領事館首席領事らがあいさつを述べた。

第二セッションでは、馬洪氏が「WTO加盟後における中国大陸部と香港、澳門、台湾及び日本との経済·貿易関係の展望について」というテーマで要旨次のような基調講演を行った。

一、中国のWTO加盟後、両岸四地域の経済面における相互補完性はさらに大きくなり、その結果、両岸四地域の経済協力と経済の発展により多くの機会をもたらすことになろう。そして両岸四地域の経済関係には新たな変化、新たな特徴が現れ、WTOの枠組みのもとで、独立関税区としての経済面の協力はさらに強化されるであろう。また、両岸四地域の経済面での役割にいくらか変化も起こりうるであろうし、一部の協力方式が相対的に停滞し、弱まる可能性もあると思われる。また、中国のWTO加盟後、華南地区と日本との経済協力関係にはいっそう強化される趨勢が現われるであろう。それはアジアの安定と繁栄に役立つと思う。

つづいて、巫和懋氏が麦朝成氏らの論文をもとに「東アジア地域の協力の可能性」というテーマで発言し、馮蘇宝CDI戦略研究センター主任が「華南経済圏についての研究要綱」というテーマで発言した。

第三セッションでは、李灏深圳市党委員会·市政府高級顧問、元深圳市党委員会書記·市長が「『両岸四地域』の経済協力に対するグローバリゼーションの影響」というテーマで発言、香港政策研究所の李正儀博士が「高度なグローバリゼーションの華南経済圏に対する影響」というテーマで、小林守三菱総合研究所アジア研究室長が「グローバリゼーションの中での東アジア企業の経営の変化と技術革新の動向―日本の化学工業を例として」というテーマで発言した。

第四セッションでは、まず張海燕NIRA客員研究員が「日本企業の国外への技術移転―その華南地域における経験と教訓」というテーマで発言した。張海燕氏はかつて中国深川市の公務員であった人で、その後はNIRAで客員研究員として研究を続けており、中国と日本の事情に明るく、中国国内の人脈からナマの研究状況を知りうる立場にあるため、その発言は現実味のあるものであった。それにつづいて陳麗瑛台湾中華経済研究院大陸研究所研究員が「東アジアにおける産業の競争、相互補完と地域協力の戦略」というテーマで発言、丸屋豊二郎ジェトロ開発経済研究所研究企画課長が「中国華南地区のエレクトロニクス産業の発展と経済のグローバリゼーション」というテーマで発言した。丸屋氏の発言は北京でも拝聴したことがあるが、一ジャーナリストとしての私はその発言は綿密な実証的研究、ジャーナリストさえ脱帽せざるをえない「足により取材、ヒヤリング」をもとにしたもので、非常に説得力があると思った。

十二月十日にも、第五、第六セッションの発言と討論がくりひろげられた。

十日の午後には、塩谷隆英、馬洪、巫和懋、陳文鴻ら四氏のサミット対談討論会が開かれた。

ちなみに、韓国の代表も、次回からは正式の代表として参加することになった。

考えてみると、NIRAという機構のコーディネートのおかげで、台湾有数のシンクタンクの研究者と大陸の研究者が一堂に会して語り合い、酒を酌み交わし、観光を楽しむということが可能となったわけで、また、話し合われていることにも、ますます共通点が増えてきている。これはある意味では、大陸の改革·開放が深化、発展し、外の世界とのリンケージがますます強化されていることを裏づけるものであろう。

澳門には、東莞、虎門、中山、珠海経由で入ったわけだが、高速道路ができていて非常に便利であった。そして珠海市の大発展ぶりを目にして、改革·開放の成果のすばらしさを肌で感じ取ることができ、ジャーナリズムの世界に生きるものの一人として大いに勉強になった。また、シンポジウムに出席した澳門特別行政区の局長クラスの人たちの若さ、バイタリティー、高効率の仕事ぶり、住民たちの高い評価から特別区の発展、成長の様相をかいま見ることができた。

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